2013/11/20
SUM JIG FP-60CW


振り返れば

今までにそれなりの数のアイテムをリリースしてきた訳だが、
主な流れは明確なコンセプトとそれに基づく使用方法により
狙い通りの釣果を得て実績を重ね、
リリースの後においては
ユーザーの皆さんが迷い無く使用してもらえる様・・・

我々にとってはこれが理想的な流れであり、
リリース前の釣果においては多くの協力者の力もあって
これまでほぼ実現出来ていた様に思える(主観的ではあります)。

掴みきれないその正体

新アイテムは毎シーズンそのアイテムにもよるが、
半年程前に具体的な開発に仕事が進行する。
今年の春頃から形になり始めたアイテムは、
近頃になってようやくレポートコーナーを賑わせてくれている○秘Bと
現在もユーザーさんが孤軍奮闘で頑張ってくれている○秘Cだった。
両アイテムとも琵琶湖で活躍し始めるのは
秋に入ってからと予想していたのでのんびりしていた頃の事。

サム山岡が“これどや?”と見慣れぬアイテムを作っていた。
それはボディー形状がSF-60CWっぽくあるが、
フロントアイにはプロペラが付いていた。
“これは珍しい”というか、
自分の知り得る範囲では記憶にないタイプのルアーで、
サム山岡オールドハンドメイドの時代にも存在しなかった。

サム山岡のその時のイメージしていた使い方は、
取り敢えず今は割愛させて頂くが、
なるほど理にかなっており、何度か実戦投入も試みた。
しかし時期も時期、真夏に向かうその頃に
このアイテムの相手をしてくれるたのはケタバスのみ。

う〜ん・・・どうなんやろ?
ピンとこない使用感である事は間違いない。
まぁ、他のアイテムをさんざん通した後のケタバスが
一時、妙な好反応を示した事だけは今でも覚えている・・・。

真夏の川鱸

8月に入って日を選んだ釣行が続いたこの頃、
例年になく河川のシ−バス狙いをサム山岡と共に楽しんでいた。
メインのアイテムはフラッシュバックにファットサムや
この頃リリースのコトカスシリーズインサートプレートモデル。

それだけのアイテムでもそこそこ釣れていたし、
勿論僕の頭の中からはこのフロントプロップが消え去っており
貴重なプライムタイムをそのピンとこないアイテムに割く訳にはいかなかった。
しかしサム山岡は違った・・・

全てはこの一尾から

夕暮れ時、まだルアーの着水もはっきり確認できる時間帯。
狭いポイントを交代で狙っていたが、
良い時間帯も過ぎ去ったのかアタリも止まりだした。
狭い範囲を手を替え品を替えもう納竿寸前だったであろう。

“お、きたぞ!”の声。
程なくしてサム山岡が抜き上げたのは30センチそこそこのシーバス。
ほう、まだ反応するアイテムがあったのか!?
“これや、プロップや!釣れたぞ、ハッハッハ”と・・・


(8/6 流れを変えた記念すべき一尾)

“なかなか物好きな魚も居るもんや” と、
この時点ではまだそんな思いしかなかったか。

この一尾が釣れた事により、再び竿を振り始めるが僕には反応がない。
するとさっきまで自分がルアーを投じていたポイントで
再びサム山岡の竿が曲がり強烈なファイトを繰り広げているではないか。

ヒットルアーはまたもフロントプロップだ。


(8/6 いや、この一尾も大きな意味を成すのか)

アレはマグレか

サム山岡も含めてこの釣果に何かしらの説得力を感じたのであるから
この後サンプルを追加制作する至った事は言うまでもない。
そしてサンプルの一部は
その時に最も有益な情報を提供して下さるであろうユーザーさんに
いつもの様に託す事となる。

最初にフロントプロップを送り、直ぐに結果を出して下さったのが、
秋田県在住のヌードルスさんである。
具体的な使用方法などは伝えていなかったと記憶しているが、
いつもながらにさすがの腕前。

“アップクロスにキャストし、引き波を出しながら流していると
イナッコの群の外れでパコンッと真空音”
(ヌードルスさん)


(9/27 イメージしていた一つの結果だ。果たして自分にも出来るのか?)

過酷な状況

例年になくなのか、近年続くなのか・・・
何だかよく分からないが、今は昔のように琵琶湖は簡単ではない。
特に夏場だが、秋も難しい。
その理由をここで検証している訳にはいかないので
その頃の釣果から言うと
フロントプロップの説得力なんぞ有ろうはずもなかった。

ただ、何故か不思議と毎釣行アタリや小バスの反応は有った。


(9/30  イレギュラーな力を感じる!にしても・・・冴えない結果が続く)

同じようにレポートコーナーでお馴染み石川さんの結果も
まだ圧倒的なものではなかった。
がしかし、近所のダムでのある日の体験。
“かつてないくらい小バスが沢山寄ってきてはいたよ”
(石川さん)

う〜ん微妙だ、しかし悪くはないか?


(10/11 番人様も今年の琵琶湖には苦しめられる?)

運も実力

発売予定も近づき、
もはや“イレギュラーな力”を売りにリリースに踏み切るか?
実際のところ“連発!”など目を見張る様な経験も出来ておらず・・・
誇大広告する気などないので、それで良いのだが、
願わくば、一つインパクトが欲しいと思っていた。

ただ、今年の琵琶湖の状況からすると
インパクトどころの話ではない。
釣れる釣れないの狭間を行ったり来たり。
この日も“大物を!”などという欲深い気持ちを
微塵にも起こさせない穏やかな日であった。

はっきり覚えているのは
ウィードエッジをかすめる様に沖へとキャストした事くらいだ。
小バスでも良い、イレギュラーな力を発揮して魚信を得たい。
しかし、予想外の結果として目の前に横たわったのがこの50アップだった。

明確に狙いがあった訳ではないのでラッキーであった事には間違いない。
だからなのだろうか、かなり新鮮な感覚が今も残っている。


(10/18 ただ巻いていただけだが、理想の水深はイメージしていた)

釣れても尚、不明確なヒットのイメージだが、
そのイメージを良い意味で保ったまま次の釣行に向う。
狙いはデイシーバス。
フロントプロップで釣りたいと思いつつも、
計画通りにまずは他のアイテムで狙ってみる。
そして表層系を散々試した後にそこへフロントプロップを投じる。
これで結果が出れば“イレギュラーな力”以上の何かを得られそうだ。

同じ様なイメージを持って緩やかな流れの中、ただ巻いてみる。
そしてその魚はゆっくり近寄りゆっくり吸い込む様なバイト。


(10/24 単なる出来過ぎか、やっぱりイレギュラー以上か)

迷い無し

何事にもタイミングというものがあるだろう。
釣り難い、使い辛い条件下で必ずしも真価が発揮される事はない。
そう、時間が経つにつれて色々な可能性や実力が証明されてくる。


(11/1 石川さんはこの時以外にも好感触を得た釣行があるのだ)

我々としては青物での結果は全く想像していなかった。
しかし、チャンスが訪れればこんなパフォーマンスが発揮できるのだと。

この世界に“新たなカテゴリー誕生”の切っ掛けとなるかもしれない。


(11/4 “○秘Aはノリの良さに封印しました”ヌードルスさん)

最後にフロントプロップを託したのはお馴染み大阪府在住のじゅんさん。
託す前からほぼ間違いなく結果は出してくれるだろうと予想していたが、
やはり難無く使いこなして下さった。
どうもレポートを拝見していると、
こちらが勝手に“イレギュラーな力”扱いしていただけなのだろうかと
馬鹿馬鹿しくなってくるくらいである。

使い手によっては定番アイテムを超える存在になるのかもしれない。


(11/10,13 釣りの上手い人間は簡単に釣っている様でもかなり繊細だ)

今回はいつもと少し違った新作紹介だが、
言い残した事があるとすれば・・・
フロントにプロペラを組み込んだその効果であろうか。
貴方はキャスト時にほぼストレスを感じる事がないであろう。
プロップタイプにおける新たなカテゴリーが誕生したのである。

SUM JIG FP-60CW

SPEC

Length:60mm
Weight:about 8.6g
Hook:#8
Price: ¥2310-(税込み)

サムルアーズショップにて11/21日夕刻発売開始

サム山岡の一言

老眼の為にいろいろと難儀します。
鱸釣りに行って
違うルアーを使う予定で取り出したらこのルアーでした。
“そうかお前か、この機会や一度使ったるわ”
と表層付近で使う予定のこのルアーを
浅場に投げて上下したら一発で食い付きました。
1投目です。
予定通りの使い方ではありませんが嬉しくて大笑い。
気をよくして今度は少し下で同じ様に上下したらガツンときました。
使い方はいろいろと出来ます。
貴方の感性でお使い下さい。