2015/3/16
Light Trip wG52 Vol.1


早いものでもう6年。
前モデルを最後に発送した出荷記録を調べれば、
どうやら群馬方面 に巣立っていったようだ・・・


(第三世代 Light Trip G52)

第一世代のG52を発売以来、
ULモデルも含めてある程度の数量 がユーザーさんに行き渡り、
G52シリーズの動きも落ち着きを見せてはいましたが、
その後も再販の問い合わせをいただいてはおりました。

今までなかなか再販に踏み切れなかった理由の一つは、
材料価格の上昇にあります。
基本的な部材はブランクスとガイド、リールシートにグリップですが、
その内のブランクス=カーボン素材の高騰に加えて
コルク素材の品薄状態が追い打ちを掛けます。
その二点の他についても価格が下がっているものなど存在しないでしょう。

作る度に値上げしなければならないであろう状態に
再生産は諦め気分だったと言えます。

ただ、近年は毎年の様に見積やら情報を入手し、
各方面 に相談を繰り返した結果、
ようやくG52再生産に踏み切るに至ったのでした。

最重要課題

この問題を如何に克服するかが最大の難題だったと言えます。
それがグリップ。
上記しました通 りかねてよりコルクの入手が非常に困難であり、
現在もその状況は変わっていません。
特にG52の握り部分はある程度の体積を有するコルクのブロックを必要とし、
品質がかなり不安定、というよりは不良が中心との話も・・・


(第三世代のコルクグリップ)

カーボン素材の高騰はなんとか理解してもらっても
不良コルクで作ったグリップを
仕方がないと納得してもらう訳にはまいりません。

残された選択肢

ある日、関西を拠点とする著名なメーカーさんに話を聞いてもらったところ
一つの提案を頂戴しました。
それが“ウッドグリップ”という選択です。
実はこれまでウッド素材の利用を考えていなかった訳ではではなく、
常に選択肢として第一候補でありました。
しかし、どの種のウッド素材をどの様に加工すべきなのか
という方向性がはっきりと見出せなかったのでした。

wood G52

そんな我々に推奨されたのがこちらの
“Walnut Grip”
(ウォールナット)

これは既に表面 にフィニッシュ加工を済ませた状態ですが、
この握り具合や見た目の質感こそが
“作るならこれだ!”
と感じる事の出来た理想的なグリップだったのです。

30年程前に愛用していたあるロッドのウッド製グリップ部分は
今も手元に残っています。
思い出深く大変気に入った使用感でしたが、
当時の度重なる釣行でそのコーティングは傷つき、欠けも目立ちます。
どうしても修復が難しく、
それは時間と共に生まれる風合いも出し辛い様に感じました。

しかし、今回採用させてもらったグリップのフィニッシュ加工は
木目も美しく残され、手触りには温もりすら感じられます。
使って傷ついても簡単なメンテナンスによって良い雰囲気が保たれ、
アングラーと共に時間を積み重ねていくのだと思われます。

また、そのシットリとした肌触りは
手の平への吸い付きも良く、安心感があります。
勿論、人の肌にもそれぞれの特徴がありますから、
誰にでも適した質感であるかは分かりません。
因みにスタッフ社員AはコルクグリップのG52を使用している際に
気象条件?体調?によって手の平の乾燥が進み、
フルキャストが困難になる場合があります。

さて、このグリップを採用することにより
生産単価もそれ相応に上昇してしまいましたが、
質の悪いコルクグリップを安易に使用し
持つ喜び失ってしまっては、
G52を再生産する意味がないでしょう。

完成度を高めるために

その他グリップ周りでは
専用に制作したアルミリングが追加されています。
これは単に見た目の問題ではなく、
グリップとリールシートの整合部分の構造的な理由から
組み込まれています。
ただ、アルミ素材をそのままにしたのは
リールシートやリール固定ネジの見た目の特徴に合わせる為です。
全体的にマットなコーディネートを心掛けました。

その他の部分の見た目の特徴、
これまでのG52と異なる箇所を紹介させてもらうと。
まずはブランクスカラー。

これまではG52(Light Action)がグリーン系、
G52UL(Ultra Light Action)が赤紫系、
いずれもコルクグリップに似合った組み合わせだったと思いますが、
今回はブラウン系ウッドグリップに合わせる必要があり、
尚かつこれまでの2カラーとは変えたい。
加えてスレッドも少し特徴的にしてみたい。

Chocolate brown & Wine red

結果 として完成したのがこの組み合わせです。
ブランクスカラーのブラウンはマット仕上げ。


(上が第三世代G52、下がwG52)

これまでの2モデルと同様に派手さこそありませんが、
スレッドは透ける赤系を採用していますので、
無骨なブラックよりもやや色気も出て良い雰囲気に仕上げられました。

こだわり

あと特筆すべき?パーツがもう一箇所あります。
それがフェルール。
リールシートに合わせた純正の部材と認識していますが、
別 段特徴あるパーツではありません。
ただ、このパーツは安価でもあり、成形が非常にお粗末です。
これを如何に修正し理想的なパーツに仕上げるか。

今回は当初、工具を駆使して効率的に仕上げようと何個かを試作。
ところがどっこい、それを見ていたサム山岡が、

“あかん、そんなんでは出来ひんのや、ワシがやる”

と、一本一本納得のいく仕上げを遂行。
そしてwG52のフェルールはこれまでとは少し表情が異なるマット処理です。

出しゃばらずとも強かに

“さりげないアダルトなアイテム”
なんじゃそら?!って感じでもありますが、
道具の個性も表現の在り方は様々です。
ギラつかずとも十分な存在感を出したいのです。

今時では何処にも似かよったロッドは存在しないと思われます。
勿論見た目だけではなくコンセプトそのものも。

それにしても、
目立たない様で目立っちゃうんですよね〜この竿は。

お似合いのを探せ

さて、今回は見た目の仕様を紹介しました。
こまま性能紹介を行うと
とんでもなく長くなりそうなので、
wG52の性能については次回のニュースにて。

では、本日のシメですが、
このsum-stick Light Trip wG52にピッタリのリールを
探してみようかと思います。
但し、一部のリールは取付の際にリールシートに厚みを加えたり、
リールのフット部分チューブを填め込む事が必要になります。

さぁwG52の雰囲気+リールによる相乗効果 が生まれるでしょうか。

CALCUTTA CONQUEST 100

リールの形状及び質感やボディーカラー、
様々な点から見てかなりお似合いかと思います。
ノーマル状態ではガタツキが生じますので、
リールフットにチューブをかませるか、
リールシートにゴム板、コルク板を敷く必要があります。

REVO LTZ

こちらはレポートコーナーでお馴染みの石川さんのリールを拝借。
既にパーツ交換が各所に行われておりノーマルの状態ではありませんが、
予想外にお似合いです。
リール側にもロッド側にも特に加工の必要なし。

EXSENCE DC

こちらも石川さんのリールですが、
こちらも特に問題なく取付可能でした。
リールとリールシートの色合いが似かより過ぎか、やや淡泊な印象。
すぷーるにはライトブルーのPEラインが巻いてあり、
見た目的にはこれがちょっと淡泊さを助長しているようにも思えます。
リール側にもロッド側にも特に加工の必要なし。

Ambassadeur 1601C IAR

何となく懐かしい組み合わせです。
取付において特に加工の必要なしですが、
お互いのベースとなる構造&時代が適合しているだけに
当然と言えば当然でしょう。
飛距離の出やすいサムルアーズアイテムを使うなら現役かも!

Scorpion 1000

リールは社員Aのお気に入りですが、
現行モデルではありません。
wG52の赤いスレッドとアルミパーツが効いていて、
カラーのマッチングはグッドでしょう。
リールフット以外にリールとの接触部分があり、
リールシートに加工が必要です。

PRO Plus

言わずと知れたサム山岡愛用のPRO Plus。
この写真では判断できませんが、
個人的には黒いスレッド(試作品にある)の方が似合っていると思われる。
取付も全く問題無しですが、
近頃パーツの劣化が激しくなっている様で
そろそろ買い換えが必要では・・・

更に色々と取り付けたくなったので

まいどお世話になっているWILD-1 京都宝ヶ池店さんのご協力を得て
在庫されているリールを何点か取り付けさせてもらいました。

REVO LT

ALPHAS SV

SSSV

CHRONARCH CI4+

ALDEBALAN

ELAN MTX

各リールとの印象については割愛させて頂きますが、
改めて意外な事実を発見したと言えます。
それは、“今までやや敬遠していた現行のロープロリールも似合う”
って事です。

実際に幾つかの理由が見受けられたのですが、
一つは各メーカーさんは、
基本となるベースカラーは黒系かガンメタ系。
そして殆どのリールはアルミやクローム系が入っている
また、リールのパーツにアクセントとなるメタリック系の赤を使っている。

更にウッドグリップとの相性が良く思えるのは
正に“GUN”(拳銃やライフル)のイメージなのかもしれません。

これはこれまでのコルクグリップモデルでは感じられなかった印象で、
タックルとしてのインパクトは強いと思えます。

ハンドリングも悪くないし、
スタッフもちょっと使ってみたくなりました・・・

ご注意いただくべきは

今回紹介させていただいたリールは、
一部を除いて実釣では使用しておりません。
ご注意いただくべきは、
リールをしっかり固定した場合のガタツキの有無。
また、レベルワインドの下部が、リールシートのリール固定パーツに接触しないか。
固定した時点でリールがロッドに対して真っ直ぐに取り付けられているか。

一部のリールはリールフットやリールシートに加工を施しても
取付が不可能な場合があります。

新規にリールを購入される場合は、
ショップさんで御希望機種を取付させてもらうのが良いでしょう。
更に理想的なのは
お友達のリールを試させてもらうとか!

Light Trip wG52 Vol.2に続く