2015/4/24
二〇一四道釣記その参(完全版)


現在、2015年4月。
半年も前の事をしつこくまだ書いておるのですね。
このままだと月刊化してしまったり、
書き終える前にひょっとして再び行く事になってしまった場合、
永久に書き続ける事になるのではないかと恐ろしくなって来たので、
今回こそ終らせるのである。

最初に言っておくと、
仰天動地超弩級モンスター出ません。
そんなにポンポン釣れません。

釣りの合間に書いてた手帳と写 真を元に、
その時あった事を整理して書いてあるだけなので、
ごく普通の釣りを通 した記録が淡々と綴られているのみ。

しかし、嘘偽り、水増し無し。
いやぁ、現実味がありますなぁ。
面 白いかどうかは別として。

まずまずの魚を釣り終えた後、翌日に入るエリアへ移動した。
移動中、太陽が沈む瞬間は西側が少し明るかったものの、
暗黒雲が空一面 を覆っているので、いつもにも増して真っ暗だ。
予想通り、ほどなく雨が降って来た。
ヘッドライトのバルブをフォグランプ色に変えているので
雨・霧でも見え易いものの、
特に夕方から夜にかけて雨が降る時は鹿の飛び出しにとても気を遣う。
ポイント近くに到着しても同じペースで雨が降り続く。
一眠りして深夜に一度起きる。
雨止まず。
更に深く寝る。

am5:30起床。
雨は少し弱くなり、パラパラと降る程度。
ただし、これは夜明けに天候が一瞬安定しているだけで安心出来ない。
6:00になるとやや雨が降って来た。
6:30、猛烈な風雨。
しばらく車中にてフックを数セット作製し、ルアーの選定をする。

9:00、外に出れそうになった。
ここは先日来た時に川の様相が一変してしまったのを見て、
軽く探るのみで諦めた場所。
しかし今迄この辺りを歩き回って観察した所、
この地点を中心として、川の上下2kmに可能性がある。
ただし、そのド真ん中の広大なフィーディングゾーンが
壊滅したのが問題なのだが・・・。
水の色は絶好なのだが、水量 は思ったよりも増えていない。

上流では雨が降らなかったのか、
又はもう1〜2日経たないと水が押して来ないのか。
水際は雨でぬ かるんだ影響で、
一足ごとに膝の辺り迄沈み込むので脚力がかなり鍛えられる。
体力の消耗が激しいので10mおきに高巻いて行くが、
ブッシュが背丈程ある上に密度がかなリ高く、
熊笹も混ざって来て岸を昇り降りするだけでかなり苦労する。
高巻きは止めてなるべく静かに川の中を上流に向かって進み、
ここから一気に深くなる、という地点で岸によじ登った。
この辺りからはブッシュが減って森になっているので木の間を縫って歩いて行く。

ここだなという箇所を探るものの、重量 級の大型魚は不在の模様。
水中の他の生き物もほとんど見掛けない。
水深を測ってから、
少し目線を変えてSUMVIBを中層でリフト&フォール。
川カレイが来た。

ベタ底でないのによく喰い上げて来たな・・・。
結構水深あるのに。
更に水深が深い、以前から気になっていた場所では同じくSUMVIBにてウグイ。

よしよし。
このサイズのウグイがこの場所に居るのは大変よろしい。
ただし、ここはルアーで釣るにはどうかな?。
たとえソフトルアー使ったとしてもおそらく厳しい。
可能性があるとしたら特定の時間帯に生き餌を泳がせるぐらいか。
以前出会ったベテランの方とこの様な場所について話した事があった。
そういう場所はルアーやフライで釣るのはちょっと難しいけれど、
そこがあるからこそ釣れるべき場所にも出て来るし、
まぁ家みたいなものだからそっとしておこう、と。
「釣れればなんでもいい」のと「追求して釣る」のは違う。
少し前からまた降り出した雨が更に強くなって
視界も悪くなって来たので 森の中へ後退。
しばらく雨宿り。

下流方向へ1.5km移動。
水が多ければ岸伝いに魚が待機しそうではあるが、
今の段階ではそれは無い。
一通 り探って早々に諦めるのも芸が無いので、
コトカスMで動きの実験をする。
2サイズあるコトカスの内、小さい方(いわゆるコトカス)は、
トラウト相手の場合、
強い流れの中で定位 させて魚を誘い出す動きに関しては
かなりの力があると個人的には思っている。
大きい方(コトカスM)については、
小魚の泳ぎそのものに見えるリトリーブアクションを活かして
表層近くをスーーーッとゆっくり引いて来るぐらいしか思い付かなかった。
「これはな、水面 でチャプン・・・チャプン・・・、とな、
そうするとな、水面が割れるんや・・。」
サム山岡氏の身振り手振りの説明を聞いていた時、
「チャプン」よりも、
コトカスMを持った手首を大きく捻って弧を描いていたのが気になった。
あの動きを中層で出さないといけない。
シングルフックに換装しているので、
泳がせて見ては追加ウェイトを細かく変更しながら配分する。
これでどうだ、と水面 下50cmでアクション。
真下からギラッと突き上げる魚体。
散々引っ掻き回した場所で狙った動きが出た途端の魚からの返事。
文句無し。
やりましたな。
ウグイを。
しかしここも結構水深ある上に、
岸寄りや表層には全く何も泳いでないのに、
底の方からよくすっ飛んで来たね、君は。

目的を果 たしたので切り上げて昼食。
風が強くなって雲が吹き飛び、すっかり晴れて来たので、
この日射しと午前中迄の累積雨量 で魚が集中しそうな地域へ移動する。

読み通 り、
1箇所目で極上のポイントが形成された中へSABEL SUM投入。
ここ迄で最も迫力のあるアタックで水面 に躍り出た
かなりの良型をフッキングさせるものの、
遠くへ、底へ一気に走られ
深い位 置での 強烈な首振りで惜しくもフックアウト。
どうもSABEL SUMに出て来る魚は
掛かってからも挙動が派手というか、
やや狂った様に暴れる様に感じる。
ルアーを襲う段階からの本気度が高いのかもしれない。

少し移動して違うポイント観察をし、
やはり魚はあそこに数匹集中しているな、
と先程のポイントへ舞い戻る。
SABEL SUMで出した地点は留守の様で、
秘密バイブ、LDF-80等で少し様子を見るがちょっと違う。
流速と水位 、
魚が待機しているだろうという位置を元に少々考える。
昔からよく使われているのに自分の使い方が悪いのか、
今迄そんなにも狙い通 りには魚を出せていないルアーがある。
ひとまずキャストして通常通りリトリーブ、
岸と平行に引いて時折アクションを加える。
2〜3キャスト後、
同じ様にリトリーブしつつも
G52ならではのロッド特性と流れを利用して、
魚が居ると判断した地点でフイッ、、フイッ、、、と
柔らかく魚の鼻面 をかすめるイメージで操作する。
一度上流側へ大きく引き、再び先程の様に動かすと、
一瞬ロッドのテンションがほんの少しだけ軽くなった。
強い水流の影響で弧 を描いたままのロッドの曲がりを見ながら
徐々にテンションを強く掛けて行く。
底に張り付いていた魚が水面 を割った途端に
狂った様にローリングしながら跳ぶ、跳ねる、突っ込む。
水圧もかなり強いのに流れの向きも一切無視して縦横無尽に暴れまわっている。
スピニングタックルで9ft.ロッドの時、
もう少しだけ大きいサイズの同じ様な暴走魚に好きな様にされて
PE25lbでも危うくラインブレイクしそうになった事がある。
ベイトタックルのみに戻してからはそういった事もなくなり
メリットが多いので不都合を感じた事は無かったが、
ポイントのスケールや魚のサイズ、流速にもよるが、
やはりG52だとルアーの操作や魚との駆け引きが楽かな?。
いや、違うな。「楽しい」が正解。
(ラインブレイクの不安感も少ないが、これは使えば分かる。)
よくある水面 に頭を出してのヘッドシェイクではなく、
頭を下にしてのテールシェイク。
水面 で尻尾側を激しく振りながら下へ下への突っ込み征してネットイン。
そのまま水中で計測。丁度70cmぐらい。

やはりこれぐらいのサイズの魚体だと水の抵抗が少ないのか、
派手な暴れ方をする傾向がある様に思う。

ふと思い出した事を1つ。
よく、 「大きさの割には引かない」
「ただ重いだけ」「簡単に寄って来る」 と言われるが、
本当にそうなのか?。
水深、流速の有無、河川規模等で全く違う魚に感じる事が有る筈。
個人的には、
あんなに様々な側面 を持つ魚はあまり居ないと思うのだが・・・。
又、キャッチ&リリースが浸透して来て
以前よりも個体数が増えたとも言われているが、
それも全体的には棲息条件の残った、
限られた極僅かな数河川の流域のみ、
自分が行く川も大河などと言われているが、
同条件・同スケールの河川が他に無いと思うと
途端に地図上の川が脆弱に見えてしまう事が有る。

(走行54km)

6:30スタート。
日は昇っていて天気も良い。
しばらく流芯を探るものの全く反応が無いので手を止めてしばらく周囲を観察する。
大分離れた対岸の方で定期的にライズがある。
こういうケースだとあまり大型では無いと思うが確認の為と、
ひょっとして魚が全体的に対岸側へ寄っているのではと思い、
一度撤収して回り込む事にする。
ライズがあった付近を幅広く攻めるが反応が無いので、
ひょっとして魚はあまり泳ぎ回らずに定位 置で待機中かもしれないと思い、
秘密バイブで流芯の斜め脇を探ると・・・・
おそらくライズの主、50cmがヒット。

足場が高いが増水で岸際が脆くなっているので、水際に降りて素早くリリース。
その後反応が無いので少し移動。
昨日のSABEL SUM劇場へ。
昨日と一変、増水の影響で川が満水状態になり、
緩慢な流れで全く違うポイントの様に変貌。

これはダメだな、一通 り攻めてやはり反応が全く無いので
先程の魚の出方と水位の移り変わりの痕跡から、
一見見落としがちな岸近くのスポットに
魚が絶対に定位 していると感じてSUM VIBをユラリと送り込む。

一度完全に止めてからほんの少しだけ誘うとロッドティップがかすかにお辞儀する。
増水で川の流れがゆったりしている為か、あまり水面 を割らずに水中でうねる。
昨日の魚よりも楽にネットイン。

背中が少し赤めの約70cm。

岸際に定位 していた為か、
ネット枠を沈めて開放してもそのままジッとしているので
しばらく観察していると、
あれ?、この魚、頭頂部に少し傷と、鱗の剥がれた箇所が。

まさか昨日の子では。
う〜〜〜ん、それにしては小さ過ぎるし・・・
あっ、そういえばこの場所、
その前にもSABEL SUMで2〜3回フッキングミスしてた記憶が・・・。
F90で釣った時のフック痕である様にも見えるし・・・。
(フィッシュイーターは、状況によっては
リリース後1〜2日空けば再び釣れてしまう事がある)
ごめんごめん、同じ魚達を相手にしていたのかも。
これはいけませんなぁ。

しばらくすると、徐々に後退して元居た場所へ下がっていった。
こういった1ケ所でジッとする魚のリリース時にはかなり気を使う。
酸欠の場合、
前後に揺すってエラに酸素を送ると良いとされているが、
やり方によっては一瞬のその場凌ぎにしかならない。
釣る前からリリース迄の過程がイメージ出来ていないと、
魚ばかりか地形によってはこちらも危ない事がある。

この辺りは満水傾向で流れが弱くなって来ているので
釣れても同じ事の繰り返しになる事と、
水を汲む必要もあったのでエリアを移動。
さてやるか、と車を降り足元を見るとゲーターが無い。
先程立寄った給水ポイントで外した時に忘れて来た模様。
ゲーター無しではウェーダーの破損度が加速する。
仕方ない、逆戻り。

終了時間を考えて、近隣の違うタイプのポイントへ。
時間的にも本日のラストポイント、
先程のフナミノーCWの感触からしてここで出るならここだろう。
ポイントへ行く途中にここで去年2本釣ったな、
という箇所の水位 を見ると、あと50cm欲しい。
もう一雨かな。
ここと目当てのポイントの間の箇所が少し気になるので少し寄り道。
小振りなヤナギの密集地帯を縫って
足元が沈み込まない場所からLDF-80で様子を見る。
あまり水辺に近付くと泥にはまるので、
根が張っていそうなヤナギの隙間から少し張り出し、2〜3投で見切る。

うん、まだだな、と方向を変えて戻ろうとすると、
張り出していた右足が動かない。
いつの間にか膝下まで沈んでいる。
これはまずい。
体重が下がった右足に乗ってしまっているので下手に抜こうとすると余計に沈む。
ここは少し前に来た時は平気で歩けた場所。
1〜2度降った雨で増水はしなくとも地面 にはしっかり水分が蓄えられたのかも。
以前にも小河川の流入付近でウェーディング中に同じ様な事があったので、
それに備えて持って来ているロープの先にルアー回収器のウェイトを付けて
太いヤナギの幹に投げて絡ませる。
全く無理。

これは人に引っ張って貰っても難しい。
巨大シャベルか重機で足元から掘り出して貰わないとダメかも。
既に左足もしっかり泥に沈んでいるが右足よりも少し浅いので、
肘迄手を入れてシューズの紐を手で掴んで引っ張ってみると、
なんとか抜けた。

体の向きが変えられたので、
ひとまず身に付けた物を全部地面 の固そうな場所に投げてちょっと考える。
ロープ脱出は無理。
車が稀に通る場所からは微妙な距離なのと、
ヤナギの密生に隠れてまず見えない。
16時過ぎか・・・17:30には暗くなり始めて、
18:00で真っ暗ですな。

これ、どうやって抜こうかな・・・。
左足を泥の上に寝かせて体を水平にして右足を探ると、
足首から下が灰色の粘土層に入っている。
上側の泥の層は動かした影響で周囲からの水分が染み出して来て
生クリームの様なコンクリート流したての様なねっとり具合。
この水分比重が下の粘土層に影響して圧力が物凄い。
掘って投げて掘って投げて・・・。
一向に変わらず。
右足は腰の辺り迄沈んでいるので左足を泥の上に投げ出して、
上半身は後ろに倒して泥の海で休憩。

既に泥まみれなので、匍匐前進でどうだ。無理か・・・。
暗くなって来たし、このまま寝て朝になってからでもいいか。
いやいやいや、頑張りましょうよ。
肩から首の辺り迄腕を入れると
なんとか右足のシューズの紐に中指が掛かるので、
背筋を使って全力で引っ張ると5cm程動いた。
後は足を激しく素早く前後に動かしながらひたすら根性。
抜けた。
そのまま泥の上を沈まない様に這ってヤナギの枝を使ってなんとか生還。

1時間も何をしておるのか。
首から下が葛饅頭の様な、
チョコレートで分厚くコーティングされた様な状態なので
鉄ゲタ履かされてるよりも重い・・・。

夕食後、リール分解とO.H。
各部異常なし。
23:30、雨が降り始めた。
バーッと威勢良く降ってくれないかな?
雨の様子が気になるので寝転がりながらフック作製。
気が付くと、知らぬ 間に寝ていた様で、
服や自分の周囲にフックとルアーがたくさん着いていて不用意に動くと痛い。
指が開かないと思ったら、フックと一緒に接着されている。
本日は大変疲れた。

(走行104km)

am3:30起床。
5:00スタート。
全くダメ。
少し前の昼間の気温が、最も高い時で30℃。
平均して15〜25℃を行ったり来たり。
早朝でも10℃程度だった所を、今朝は一変して気温3℃。
その影響からか、
夜間〜早朝の内に水温が急に下がってしまった影響かもしれない。
となると、逆にその事が良い方向に作用するポイントを探す事に。
川から上がると車で2名がやって来て
「でっかいの引っ掛かりました?」と聞かれる。
どうもルアーは引っ掛ける物だと思われているらしい。
「今からですか?」と聞くと、
釣りではなく本州から仕事で来た人に地元案内をしているとの事。
ハイ、僕も本州です。
え?僕も家はその辺りですけど。
あれ?むちゃくちゃ近所じゃないですか。
なんでこんな所で・・・お互い狼狽える。

地元の方の
「えー、ここはですね、幻と言われる魚がいまして、全国から釣り人が・・・。」
との解説を聞きながら、
全国から押し寄せるのは反対側の東側の川ですが。
こっちはそれ程でも・・・ あ、自分の事か、と思いつつ、
釣りに来た人が放置して行ったロッドのプラケースが目に入った。
少し離れた所には地面 にタバコの吸殻山盛り。
どう考えても釣りに来た人が捨てて行った物なので、
これはかなり後ろめたい。
牧草地を突っ切って車で川の近く迄行ったあげく、
弁当の容器をそのまま置いて行った、
なんていう痕跡もたまに見かける。

ゆったりした流れのポイントへ移動。
濁りが思ったよりも強くて
魚の至近距離にルアーを通 さないとダメかもしれない。
しかしですな、ここで最も注意するのは頭上ですぞ。

以前、少し上手で立ちこんでおった所、
パーン、ポーンと音がするので熊除けにしては近いな、
と思ってフト見ると、
後で攻めようと思っていた場所にゴミ袋が降って来ましてな。
では翌朝改めて、とその場所で60クラスを釣った後に、
さぁ次は巨大潜水艦遂に現る、とキャストしようとすると、
バーンと目の前で巨大な水柱が上がって頭から水被りましてな。
非常に大きなダンボール箱がプカプカと。
続いてもう2〜3箱。
一呼吸置いて、前日と同じくビニール袋が景気良く5〜6袋。
ランダムに降って来る上に、
ウェーディング中であまり素早く避けれない。
なので、橋の近辺は頭上注意。
くれぐれも用心されい

参考迄に、
「聖地」と呼ばれている東側の河川の河口付近でも、
橋上で車が止まると頭上から物が降って来る事があるので油断禁物。
そこより少し上流へ行き、
ブッシュをかき分けて川へ出ると
バスタブや冷蔵庫がデンと鎮座している事もたまにある。
とあるかなり上流域の極細支流を遡行して行くと、
橋の下の川の中に突然コンピューターとモニターがドデン。
アカンよ。捨てたら。

濁度とそれぞれの箇所の水量 を考慮して移動。
ここはそろそろどうだろ?
秘刀を抜く為に、G52を用意。
そう、久々にアレが出ますぞ。
遂にノセるのか?
絶好調時の水量 には少し足りないが、なんとか出せるかも。
流芯の左右を順に大きく一捻り、二捻り、・・・?
何故出ない?
足場の高さが影響しているのか?
岸際だ。
地形が抉れてブッシュが少し被さった場所へ誘導し、
流れを避ける様にステイさせてから軽く一捻り。
「ボシュッ」と吸込まれるのと同時にラインは素早く下流へ走り、
フックが触った感触と同時に激しく首振り。
これは行けたか?
これで今年は終らせますよ。
渾身のフッキング、せーーーの、

あっ
・・・外れた。
もーーーー〜〜〜〜〜〜〜イヤだ。
SABEL SUM地獄。
もう帰らしてくれぃ・・・

いや、ここで出せたならあそこでも出るかもしれない。
時間帯と弱いながらも太陽の角度も丁度良い。
急いで来たばかりの道を大きく逆戻り。
出してやるとも。

流れの中へ立ち込んで、
オーバーヘッドで弾道を低くする為に、
姿勢をなるべく低くしてG52でシュート。
なかなか良い着水音。
自分の立ち位 置から少し下側、
落差が出来て水深がある箇所の流芯は・・・違う。
その脇かも。

さり気なく水面 に弱い引き波を出しながら流れを利用して移動させ、さぁ来い。
ペランと一捻り。
同時に魚が真横から大口を開けて飛び掛かり、
そのまま高く空中へ。
真横を向いて水平に飛び上がった魚体が
太陽光を反射して光り、嘘の様に綺麗。
ガッと開いた口にはSABEL SUMをがっちり横銜え。
一瞬の事なのに、時間が止まった様な、スローモーションの様な。
直後に水平姿勢のまま腹打ちしながらドッバーーーーーン。

SABEL SUM、水面でプカプカ。
あんなもんフッキング出来るかいな。
リーリング中にラインと交錯した魚が
驚いて水平ジャンプするのは見た事あるけど、
これほどのルアーへの突っ込みは初めて見た。

ラインも大きく弛み、フックには触って無かった筈。
少し手を変える。
秘密バイブにチェンジ。
少し遠目にキャスト、ここぞという地点でフォール、
底付近で速度は速いが移動距離の小さなトゥイッチ。
トンッ、という感触と同時に、鋭いカツッという感触。
ラインが素早く動くが完全なフッキング迄には持ち込めず。

無理矢理にでもアワせた方が良かったのか。
いや、それではすぐにフックアウトしただろう。
更に手を変えても全く反応が無くなったので、
昨年から気になっている範囲へ大きく移動。

更に数カ所見て回り、大型の棲息域の上限と思われる辺りで停車。
ここは陸上の大型も出て来るので明るい内に終らせたい。
川へ行くルートの途中、強烈な獣臭。

ここを横切ったか、近くに糞があるか。
臭いの主が行った方角の見当を付けて、ルートを選ぶ。

流入河川との合流部に出ると、雰囲気抜群。
まことに色々な意味で・・・。
肝心の核心部は浅い上にポイントが狭すぎる。
ここは臭いの主の秋の狩場。
雨が降ったり止んだり。
日も傾き、早々に立ち去る事にする。

そもそもたくさん釣りたい訳でも無いし、
自分が知らなかったダイナミックな場所で
モンスター級が見たいのであるから、
現状を考えると釣った本数が増えた所で大した意味も無い。
次回来る事があればもう少し平均水位 も高く、
強靱な流れでありますように。
しかし、SABEL SUMでランディング迄持込みたかったなぁ、
と、ここ迄の行程を記した手帳を見返す。
うわっ、こんなにフックアウトしておったのか・・・。

(走行100km)

「ニジマスは釣らへんの?」(社員A氏)
出発前にこう言われれば帰る前に釣らねばなるまい。
しばらくちゃんと狙ってはいないがなんとかなるだろう。
数はそんなに出なくても良型揃いなのと、
本命の方もひょっとしたら居るかもしれないので、
川を変える事無く、
帰路の途中に位 置するニジマスの居る地域へ前夜の内に移動。

この日はしばらくゆっくりして朝靄の河を鑑賞してからスタート。
相手が変わるのでロッド3本リール2個を持って行き、
川の状態をチェックついでに
組み合わせを変えて行きながらルアーも一通 り選定して行く。
やはり通常ならルアーのサイズ的はsuming-70か?
しかし反応無し。

ところでニジマスと平行して探している獲物がありましてな。
過去の経験から、
このポイントにはどちらも居る事が分かっている。
ニジマスでは無い方の獲物の気配が無いが、
ネット片手に川の中を歩きながら
下に空間がありそうな大きな石や岩の周りを注意深く見る。
見つけた。
隠れていてもなんとなく分かる。
大体傾向が分かったので、
同じ様な場所からなるべくガタイの大きな物をテンポ良く拾い歩く。
大型ネットはこういう時非常に便利。
洗濯ネットに入れるのもいい。
関係ないですが、小型魚の数抜きが好きな人、あれなんでだろ?
個体減少が加速する気がするけど。
一度そういう人に会った時に聞くと、
「大きい魚はきらい。」との事だった。
小さい物がたくさん、
という状態はたしかに宝石集めの様に魅力的なのかもしれない。
ほどなく充分な量 を確保。
さてなんでしょう?

食用移入されたものの各地で繁殖、
特定外来生物指定の御方。
採取場所からの生体移動は禁止。
現地で調理ならいいかな?
コレで一度料理をしてみたかったのでした。
人に会うと「自給自足ですか?」と聞かれる事が多いのだが、
釣りをするとあまりそういう暇も無い。
キノコは歩いてる時ついでに採る程度なので。
野外で過ごすに当たって一番時間を使うのが炊事。
料理目的であれば朝は軽く、
昼からは夕食に向けて時間を使って工夫して料理すると楽しい。
遊ぶのが目的であればなるべく短時間にコンパクトに。
釣りに絶好の時間帯・空模様の下、いざ料理教室スタート。
チーン。
まず、獲物をネットに入れたまま川の中でダイナミックにもみ洗い、
泥や砂等、付着物を洗いましょう。
次にザルとボウル、
綺麗な水を使って高速でザルを上下したり回したりして仕上げ洗い。

この行程は「なんでも生が一番うまい!!」
と言う様な野生派の方は省いて頂いて結構。
淡水甲殻類の生食、やめといた方がいいけど。
神経質な方は歯ブラシ等で特に腹側の汚れを落とす事。
攻撃的な性格なので、大きなハサミに注意。

鍋に湯を沸かし、一気に入湯して頂く。
あまり大きなサイズだと沸騰するのに時間が掛かるので
小鍋しか持ち合わせておりません。

しかもあまりの強風と雨に囲いを作っても湯温がなかなか上がらず、
ぬ るま湯では元々締まり切っていない蓋も押し上げられる始末。

すっかり色も変わった所で身と殻を分離。
シャコを上手く剥ける人なら同じ要領で。
ガタイの割に肝心の尾部は小振りなので、
少し多いかな?という量 を捕獲しておく事。

剥き身の味は・・・やっぱりエビです。
ロブスター・イセエビ系と同じ感じの。
小ぶりな分、それらによくある大味感は少ないです。

今回はオシャレにスパゲッティと絡めます。
若干の油分を補うべくマヨネーズを少々、
後は塩・胡椒等で適時味付け。
今回は味の調整に醤油も少量 使用。
フライパンで素早く仕上げ、悪天候の中ようやく完成。

少々時間を使い過ぎた模様。空腹も手伝い猛烈な勢いで食べる。
うん、やはり普通 のエビ味でした。
ナニをやっておるのかね。
料理教室でした。

既に正午前。
空模様から、時間が進むと雨量 が増すと判断して
有望なポイントと新規ポイントを徐々にペースを上げて回って行く。
大場所にて散々叩いた後に、
狙い通 りの箇所でSUMMING-90CWに大型が。
惜しくもフックアウト。
遠距離用にと気負ったロッドがニジマスには少々硬かったかもしれない。
その後更に駆け足でポイント巡りを続ける。

17:00。
真っ暗。
雨はどんどん勢いを増し、
最後の、ここは確実と思われるポイントへ向かう途中で、
バケツをひっくり返した様な大雨。
地理的にも太陽は山の向こうへ。
見えない事も無いが、雨が強すぎて視界が悪すぎる。
川へ降りる迄も危険と判断して移動途中ですみやかにゲームセット。

あぁ、料理教室さえ開いていなければ・・・。
しかし野外遊びの一環としての釣り、
というスタンスを崩してはマイルールに違反する。
「釣り道」はエキスパートの人達に任せておけば良い。
あちらこちらへ寄り道して、たまに釣れる魚で一喜一憂を。
綺麗に纏めようとしても、釣れない言い訳であるですと?。
いーや、釣りましたよ。実は。
文字通り、朝飯前の一匹を。ホホホ。

時間は少し巻き戻り、料理教室の開催前へ。
ルアーや振り比べのロッドを交換しながら
散々叩いた後に 過去の経験からLDF-80を選択。
2〜3往復して叩いた後の流れにキャスト。
レンジをキープ、ボトム付近へ潜行させて大きくヒラ打ち。
思った通 りの箇所で2度押さえ込む大きな魚信。
昨日迄の本命とは違う、かなり久し振りの感触。
空中瞬間移動や月面 宙返りの様な派手なジャンプは無いが、
それでも2度、3度と大きく跳ねる。
ロッドが今年あまり出番の無かった6'6"。
少しは使ってやらないと。
G52と似た傾向のロッドではあるが、
やはりチューブラーとソリッドの違いは明確に感じる。
バット付近は高弾性気味のカーボンなので一見パワーはあるが、
構造上、ブランクスの挙動が鋭敏ではないので
流れの中で限界を越えた時の判断に少し迷うかもしれない。
(製品の宣伝で謳われる様な高感度云々では無く、
負荷への追従性や破断強度の事。
この辺りはレングスとの兼ね合いもある。)

ロッドの違いが気になるのでカメラを取出して動画も記録。
ネットや人陰を確認した途端に
素早く何度も流芯へ戻ろうとする動きがニジマスらしい。
サーフで掛けるサケと同じ動き。
少し長いレングスの為なのか、
意図していなくても強引に魚を寄せてしまっている様に感じつつ、
難無く征してニジマスには大きすぎるネットへ誘導。

55はないか?メジャーを当てて52cmぐらいという所。
この川のレギュラーサイズだったかな。
手慣らし終了、行くぞ70up。
しかし前述の通 り、
絶好の時間帯に料理教室が急遽開かれ、
本日の予定は雪崩式に崩れ去ったのであった。

大雨の中、車中で悶えながらポイント付近を素通 りして東へ。
夜の間に海沿いを南へ。
翌朝から大荒れのサーフで少し釣りをした後、西に向かって帰路へ。

いつも通 り、 したくないのにフェリーに滑り込み乗船(新記録)した後、
船中で手帳や写真を見ていると、
「あぁ面 白かった。」
と感じる点がいつもと少々違った。
ひっくり返る様な超モンスターを釣った訳でもないし、
驚く程の数を釣った訳でも無い。
釣ったサイズも数もそこそこ、
川の状態からしては良くやった、という程度。
元々、ああいう自然がまだ残っている場所に
スッポリはまってその場を感じ取る、
という事を目的に行っているので、
釣れた釣れないは二次的な物と思っている。
(とか言いつつ、なかなか釣れない時は必死に最初の1匹を追い掛けるが・・・)

大抵は、 足場が崩れて川に落ちた、泥沼にはまった、
車がスタックした、ウェーダーが裂けた、
水が少なすぎた、水が多すぎた、
あまり釣れなかった、連発した、デカいの釣った、
暑かった、寒かった、色んな人と会った、
という様な事が思い返されるのであるが、
どうも今回は 「釣りが面白かった」 の一点が突出している。
厳密には、「ルアーフィッシング」が面 白かった。

木やプラスチック等の無機物を操作して、
(ワーム素材は使っていないので除く)
その動きで魚を魅了するというルアーの原点の様な事を
数日間、ひたすら繰り返していた。
今迄も同様の事をしていたが、
今回は 「はい、これ使ってみて。」 とルアーを多数渡され、
更ににG52という、
自分が行く川や魚相手には一見短い細っこい竿も渡された。
こちらが入力した動きに対してレスポンス良く反応するルアーと、
その入力を素早く出来るロッドであれば、
「こう動かそうかなぁ・・・」 と頭で考えてからする所を、
タイムラグ無くやってしまえる。
その時にルアーが受けている水圧、その場の魚の嗜好や位 置、
アタックさせるタイミング 等がイメージし易いので、
こちらから仕掛けて魚をその気にさせるという、
ルアーを使った釣りならではの旨味が増幅される。
魚を釣るだけなら、高活性条件が揃っていれば、
あとは着水点、反射光、レンジ、サイズ等を意識すれば、
ある程度のルアーなら大抵釣れる。(はず。)

個人的な印象ではあるが、
G52を含めてsumlures全般 を使って見て感じたのは、

「ルアー釣りって、こんなに面白かったっけ?。」

今迄と違ったのはこの点にあると思う。
魚を掛けたら読み通 りなのでおモロい。
バレてもド迫力でルアーをアタックする大魚が見れておモロい。
特にSABEL SUM、
ええい、この野郎、ズバ抜けておモロいな、
今でも熱弁出来る光景の連続。
ほとんどバラしたけど。
(しかも信じられんぐらいの回数。)

勿論sumlures以外のルアーが駄 目だ、という訳では無く、
sumluresが万能だ、と言っている訳でもない。
しかし、 漫然とルアーを投げては引き、投げては引きを繰り返すよりも、
むっ、 ここでこう、(キャスト)
そして意識させておいて、(リトリーブ)
ここでこうする!(ワンアクション、又はストップ)、
ほら釣れた!!
実際はそんなに簡単には行かない。
しかし、イメージし易い物とそうで無い物は使う面 白さが違う。
当然、釣れる頻度も違って来る。
釣れると面白い、面白いから使う、使う面 白さがある。

誉め過ぎたか?。
いや、物や道具はこれぐらいでないと手に入れる気にならない。
個人的には、使って面白さや感覚が増幅されない物はいらない。

忘れてた。
G52、あれは海でも川でも湖でも、
ちょっとついでに釣りでもしようかな、
という時にも持って行きたい。
万が一、超弩級の大物が掛かっても大丈夫。
逃走する大魚を追い掛けられる状況なら身軽さを活かして猛ダッシュを。
そうでなければ、ライン強度を充分に考慮しつつ肘と手首で耐えながら、
魚の動きを先読みして誘導を。
釣り漫画みたいで面 白そうでしょ?。
その通り。 大層面白かったよ。
(自分が借り受けた物はブランクスが酷使の果 ての様な状態ではあったが、
昨今、皆が「激流、激流、」という様な流れでも、
まずまずのサイズの魚と不都合無く渡り合えた事を追記しておく。)

アレですな、G52は、指揮棒みたいな物ですな。
オーケストラの指揮者が振ってる棒。
ルアーと魚の動きを操作する役目。
振った感じも似ているし。
自分も操られていた気がしないでもない。

ついでにもう1つ。
G52とsumluresがあると、
他に所有しているロッドやルアーに対しても基準を作り易いのではないか、
という風に感じた。

重ね重ね言うが、
どのルアーやロッドが最も優れているか、という事ではない。
それぞれ多種多様なので一括りには出来ない。
しかし基準がなければ良し悪しも分からないし、
何をどの様に使って良いかも分からない。
使える幅が少ない物や基準値が大きく外れている物は論外である。
流行りのアクションや
シチュエーションに合わせた特異性等はどうでもよろしい。
重要なのは、絶対にブレない基本中の基本、
ロッドやルアーという物はどうあるべきかという事。
しっかり曲がって、よく動いて、綺麗に止まる、
という基本かつ重要な要素がしっかりとあるかどうか。
(勿論、そこには魚を魅了するという要素も含まれる。)
手持ちのルアーやロッドも一緒に川や池や湖や海へ持って行ってみると良い。
スイムテスト比較だけでも色々な事が分かり、
アッという間に時間が経つ程面白い。
少なくとも自分の場合はそうだった。

小難しい事はエイヤッ、と全部払い落として、
sumlures多数とG52を持って行ってみて結局の所どうだったのか、
と考えると、

「そりゃもう、滅ッっ茶苦茶に面 白かった。」

やはりそれしか浮かばないし、 それ以上でも以下でもない。

(走行/TOTAL 2,141km)

---追記---

帰った翌日、
借りた物一式の返却と、
撮り溜めた写 真を見せる為にsumluresを訪問した時の事。
サム山岡氏・社員A氏からの画像を見ながらの質問の猛攻に
なんとか返答して持ち堪え、
一段落した所へサム山岡氏がポツリと一言。

「アメマスは? 80cmオーバーの綺麗なやつ・・・。」

・・・続く(かもしれない)